新年の挨拶における退屈な手続き

年が明けた。

 

「年が明けた。」という書き出しが些か滑稽に感じるくらい(誰も2018年を2017年と書き間違えることもないくらい、と言い換えてもよい)にはもう既に2018年は進んでいるのだが、とにかく一つの事実として年が明けた。「一年の計は元旦にあり」なる諺が古くから伝わるように、年の始まりである元旦は何かしら一年の計画を立てたり新しいことを始めるには絶好のタイミングであると言えよう。何もなければただの地続きの日常と変わらない一日が特別な区切りになるのだから、暦という概念はすごい。

 

かく言う自分もギリギリ人の子なので、まあ年も明けたし新しいことしてみるかということで、今まで避けてきた「レビュー」を書く。

もともと本・音楽・映画など目や耳で受容する嗜好品が好きで、じっさい何度かお気に入りの作品の話を書こうと思ったりもしたが、なんとも恐ろしいことに身の回りには僕なんかよりもずっと詳しい人ばかりなのだ。映画には映画の、音楽には音楽のギークどもが多すぎて、別に奴らのために書いてるわけでもないのだが、およそ彼らの目に触れて耐え得るレベルの関連知識や作品に隠されたテーマを記号的に分解し紐解けるような考察力は僕には無く(特に映画フリークの友達は何故あんなにおもしろいレビューが書けるのだろう、おすぎがゴーストライターなのか?)、そのことを思うとタイプする両手の五指(或いはフリック入力する左手の親指)の震えが止まらないのだった。

とはいえ、二月からの新しい仕事の核は「プロダクトについての魅力を文章で伝える」ことなので、対象についての造詣を深く持ち、価値を掘り下げて言葉に落とし込む作業からは逃れられない。そのための地肩をつくるべく、自分が心を動かされたものについてその理由を言語化する練習のつもりでやってみようと思う。たぶん、レビューと呼べるほど立派なものにはならないけれど。