わかりあえなさについて語るときに我々の語ること

書きたい文章が書きたいように書けなくなって久しい。言葉と言葉がつながらない。最適な単語が見つからない。果ては文章の行先を見失う。相関関係があるのかどうかはわからないが、文章が組み立てられないと話し言葉もうまく出てこなくなるようで、最近ふい…

夜汽車は永い言い訳を載せて

思えば、長い長い夢を見ていたような気がする。説明するのも鬱屈になるような心持ちで三月に仕事を辞め、五ヶ月ほど社会のレールから外れてふらふらと彷徨い歩いていた。きちんと線路沿いを歩いている分、死体を探す四人の少年たちのほうがまだまともだ。 目…

夏になると僕は

随分と更新が滞ったが、直近のブログの内容的になんとなく「あぁ、これが平成最後のブログだったんだな」みたいな雰囲気が出せたのでセーフとしておく。させておくれ。心を亡くすと「忙」しい、なんてこじつけめいた、巧く言ってやった風な言葉があるが、最…

平成にはアマトキシンを 有色人種にはマシンガンを

2018年の面影を色濃く残したままに、2019年を迎えて2週間が経つ。 明けましておめでとう、という新年における構文は使い古された一発ギャグのようで安心する。何はなくとも明けましておめでとう。今年も宜しく。それに代わる変化球の挨拶を考えさせる余地も…

クジラジャム'18

2018年が終わる。 マジか。マジかという気持ちである。年々時の流れの早さに驚いているのだが、今年はおかしかった。この一年はなんだか特別すぎて、脳のCPUが追いつかない。恐ろしい。 そして例年にも増して音楽を聴いた一年であったようにも思う。ライブも…

醜悪のグルメ

冬になってから自炊する頻度が増えた。 と言っても包丁を握るのは週2~3回程度であり、その他は飲みに行ったりレトルトカレーや安売りのお惣菜で済ませたりといった具合である。節約意識とかそういうのもあるにはあるのだけれど、案外キッチンに立つことが嫌…

名前を知らない感情に名前をつける行為

この前リリースされたTHE 1975のアルバム『A Brief Inquiry Into Online Relationships』がとても良い。A Brief Inquiry Into Online RelationshipsTHE 1975オルタナティブ¥1900耽美的なメロディや全曲通して感じられる躁鬱綯交ぜになったようなポップネスは…

私が読みはじめた彼女は

ここ最近、デイリーポータルZのライターである古賀及子さんのブログを読んでは嫉妬している。 mabatakiwosurukarada.hatenablog.com 子どもたちに見たことがない商品を探させるが持ってくるのを見るとことごとく私は知っており大人と子どもの見聞の広さの違…

21世紀の(日照らない)都に雨が降る

京都のよく行く喫茶店に久々に来ている。「よく行く」のか「久々」なのかよくわからない状況ではあるが、そんなことはどうでも吉田類。いつも腰掛けるテーブル席に通され、コーヒーを注文する。カップの中の液体が空になり、タバコを3本消す間に、4人掛けの…

夏の闖入者、或いは檀れいの狂気性について

真夏のピークが去った。 そんな歌い出しの曲を聴く間もなく、コンビニのビールの棚が赤黄色に染まり始めた。季節の移ろいを冷ケースの前で感じるというのは酒飲み特有の風情かもしれないな、と思いながら隣の棚の99.99に手を伸ばす。サッポロのチューハイ事…

ミュージック・キル・ユー!!

洗濯を終えて煙草を吸いながら缶ビールを飲んでいると、iTunesのシャッフルからCHARAの『あいのうた』が流れてきて、飲んでいた缶ビールの味が一気に濃くなってしまった。思わず友人からもらったミラーボールをつけてしまう。部屋が一気にメロウになる。ビー…

さよなら三角、またきて七月

うかうかしていたらもう7月である。 すなわち、まる2ヶ月ブログをサボっていたということになる。サボタージュを生業とするサボリジニに成り果てているうちに、京都はじりじり熱気と湿気を蓄えており、気づけばクーラーのリモコンに手が伸びてしまうような季…

ワンルームで酒を断つ100の方法

どうにも面倒なことを約束してしまったな、と思う。 先日実家から母が我がワンルームの様子を見に来た時、缶瓶ゴミの多さにお叱りを受けてしまった。実際、一人暮らしを始めてから基本的にアルコールを入れない日はない、といった状況である(だが弁解したい…

春の夜長とノスタルジック・ワンダーランド

「秋の夜長」なんて言葉があるけれど、実感としてはいまひとつピンと来ない。単純に、季節で一番夜が長いのは冬だ。まぁきっと、夏から秋にかけて陽が短くなるにつれ体感として夜が長くなることを指しているのだろう、ということはわかる。ただ、寒さにめっ…

春と三段論法

一体それがどのような根拠に基づいて語られているのかはさっぱりわからないが、人は自分の生まれた季節を好きになるものなのだという。自分は冬生まれで冬が大嫌いである。すなわち、僕はヒトではないのかもしれない。 己が何者かさえ知らぬサムシングにもこ…

一緒にふるえてよ

「ラブコメディ」なるジャンルが嫌いだ。なんなら憎い。直訳すれば「恋愛喜劇」とでもなるのだろうか。自身のそれほど多くもない(決して少なくもない)恋愛譚を振り返ってみれば、思い浮かぶのはほとんど悲劇ばかりだ。ゆえに、ストーリーに共感したり登場…

新年の挨拶における退屈な手続き

年が明けた。 「年が明けた。」という書き出しが些か滑稽に感じるくらい(誰も2018年を2017年と書き間違えることもないくらい、と言い換えてもよい)にはもう既に2018年は進んでいるのだが、とにかく一つの事実として年が明けた。「一年の計は元旦にあり」な…

タイプライターはモルフォ蝶の夢を見るか?

世の中に提唱されるあらゆる論説のひとつに「バタフライ効果」というものがある。 バタフライ効果(バタフライこうか、英: butterfly effect)とは、力学系の状態にわずかな変化を与えると、そのわずかな変化が無かった場合とは、その後の系の状態が大きく異…

少女は燐寸を擦るために煙草を吸う

幼い頃から転勤族であった自分にとって、故郷と呼べる場所はない。大人になれば散策してその街で生活することの楽しさを享受できるが、二、三年で住む街を味わい尽くすには子供の行動範囲ではあまりに足りない。時間や金銭における自由を手にする大学生活を…

妹の消滅

近所にある小さなコーヒー屋さんでアイスオレを飲みながら本を読んでいると、女性二人組が店に入ってきた。彼女たちは僕の向かいの席に通され、和気藹々とメニュー選びに興じている。向かって右手の女性がお姉ちゃん、ともう一人を呼ぶ。どうやら姉妹らしい…

薬罐を火にかけ八月を沸かして

夏なのでまた、失恋をした。 あまりにささやかな恋だったので、正直なところ「恋」と呼べる代物かどうか定かではない。そもそも「好き」だったのかどうかも、今となっては随分あやふやなのだが、一抹の寂しさと喪失感になぜかホッとしているこの感覚は、学生…

犬は歩くトコトコ、象は歩くノシノシ

もうすぐ6月が終わる。あっという間だ。もはやこの先、時間があっという間じゃないことなど無くなってしまうのだろう。 楽しい時間は矢のように過ぎていくものだけど、鬱屈とした時間も目まぐるしく過ぎていくのは、救いでもあり老いでもあるようで少し侘し…

白磁の初恋

今にして思えば、あれは初恋だったのだろう。 父親の仕事の都合で、私は幼い頃からジプシーのように日本中を転々としていた。まだ物心もつかないような昔には家族そろって北海道に住んでいたこともあったらしい。当時名古屋のアパートで、北の大地への転勤の…

やく男、かく男

今年めでたく厄年を迎えた僕の最初の災厄は「肌荒れ」という形で訪れた。 肌荒れごときで災厄とは大袈裟な、と思われるかもしれないが、凡そ首から上で褒められたところが肌の綺麗さしかない僕にとっては一番の災厄と言っても過言ではない。持たざる者から唯…

誇れる女の行進

「例えば、どうしようもなく苛立ってる女の子がいるとするでしょ。その子に対してどう接してあげるべきなんだと思う?」 カオリはフォークをくるくる回してスパゲッティを絡めたりほどいたりしながら僕に聞いた。 つい20分ほど前、突如として「ここ、相席、…

思夏期のころ

小説にせよ個人のブログにせよ、人の文章を読むということは自分にとって実りの多い趣味のひとつだ。 文筆家による書籍やライターによるコラム・インタビュー記事などはもとより、表現の場においても誰もが気軽に文章を書き、公に発信できるプラットフォーム…

七夜十一夜物語(side-A)

年が明けてから初めて、土日を「連休」として迎えられる。 平安神宮での2日遅れの初詣で商売繁盛を願った憶えはないのだが、なかなかに不穏な予感を禁じ得ない年始である。そんなことより待ち人はどうした。来ずか。来ずなのか。 久々の土日休みとはいえ落ち…

気持ちの葬式

僕が愛して止まないロックバンド くるりは名曲「ハローグッバイ」で、 この気持ち説明できる言葉も覚えた と歌った。 「嬉しい」だの「寂しい」だの、気持ちを一言で表す言葉はいくつもあるが、どの言葉もその時々で感じた心の機微を語り尽くすにはあまりに…

パンを焼くという儀式について

我が家に新しいオーブントースターが来たのは夏の暮れで秋のはじまり、かれこれもう3ヶ月近く前のことになる。 モスグリーンと言うべきかミントグリーンと言うべきか、なんとも形容しがたい「緑っぽい」色合いと、電化製品らしからぬ丸みを帯びたフォルムが…

やがて哀しき前田ガールズ

人がブログを書く動機など、煎じ詰めれば所詮は気分だ。 ましてやオーディエンスのほとんどいない、極々私的なブログとなれば、詭弁だらけの理屈で塗り固めた忌憚のない話題を展開することができる。 そういう逃げ(恥だが役に立つもの)を前置きに語るので…