クジラジャム'18

2018年が終わる。
マジか。マジかという気持ちである。年々時の流れの早さに驚いているのだが、今年はおかしかった。この一年はなんだか特別すぎて、脳のCPUが追いつかない。恐ろしい。
そして例年にも増して音楽を聴いた一年であったようにも思う。ライブもけっこう行ったし、なぜかレゲエバーでラップもした(なんで??)。なので、人生で初めて年間ベスト的(アルバム単位)なのをやります。専門的なことは何も言えないのですが、この人こんなの聴いてるんか、ぐらいのテンションで見てもらえるとちょうどいいかなと思います。


・ai qing/KID FRESINO

ai qing

ai qing

  • KID FRESINO
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥2037
2月に「coincidence」が先行リリースされて3月にPV公開された時点で、今年ヤバいんちゃうかという期待がブチ上がってしまった。で、案の定アルバムもこの仕上がり。10月に味園のCHOICEでSeihoと出てたステージングも最高だった。髪型だけ見れば金属バットだった。

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・DREAM WALK/パソコン音楽クラブ

DREAM WALK

DREAM WALK

  • パソコン音楽クラブ
  • エレクトロニック
  • ¥1528
パ音はいいよなぁ〜〜ライブ行かなきゃな〜〜つって今年3回ぐらい干した(バカなのだろうか)。いや、ホントに生でライブ観たいのよ。もうさ、あんま遅い時間にメトロでやるのやめようぜ。でもやっぱ踊り疲れた3時ぐらいから聴きたい気持ちもあるよ。「Inner Blue」名曲すぎんよ〜〜Batsu氏によるremixも最の高。

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・愛をあるだけ、すべて/KIRINJI

Aiwo Arudake, Subete

Aiwo Arudake, Subete

  • KIRINJI
  • J-Pop
  • ¥1935
コトリンゴが脱退したのは本当に残念なのだが、決してぶれないその幹の太さ、その姿の異質さたるや、さながら屋久杉である。「非ゼロ和ゲーム」とか、どうかしてるとしか言いようがない。ググれば堀込兄の思う壺と思い癪だったので、Yahoo!で検索した。タイトルのキャッチーさ、メロディのポップさ…This is Grooveの極北。

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・Love Me/HONNE

一気にジャケの方向性が変わって笑った(怖い)。あのダサい日本語帯が好きだったのでちょっと残念な気持ちだったけど、曲は全部とても良かったです。去年の「Just Dance」はかなり踊れてカッコよかったけど絶妙にダサい感じもあって、でもそこもまた良かった。俺はホンネにちょっとダサくあり続けてほしい。

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・Traversa/Geotic

Traversa

Traversa

  • Geotic
  • エレクトロニック
  • ¥1528
いわゆる美メロエレクトロやな〜〜という感じ。そういうのはもともと好きなので、久しぶりに聴いても気持ちよく聴ける。ひたすらに聴きやすくて、SF読むとかそういう時に聴くとサクサク読めそう。i am robot and proudと同じカテゴリだと思っている、アニメーションとの親和性たかそうな感じとか。知らんけど。

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・POLY LIFE MULTI SOUL/cero

上半期のベストはと問われたなら、これだと言わざるを得ない。ブラックミュージックやアフロビーツの音像、或いはポリリズムを取り入れた大胆かつ緻密な曲構成。別に洋楽と邦楽でどちらが優れているかといったクソみたいな議論に興味はないが、ここまで「世界の潮流」を読みそれをこのクオリティでアルバム作品としてまとめ上げられる日本人のアーティストがどれほどいるのか、と考えてみると、ちょっとcero以外には出てこないようにも思える。アルバム内の楽曲につけられた「遡行」という曲名がワールドワイドな彼らから見た日本のミュージックシーンに対する皮肉、というのはもちろん僕の邪推である。

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・Cassa Nova/落日飛車

Cassa Nova

Cassa Nova

  • 落日飛車
  • ロック
  • ¥1528
バンド名がいいですね、本当に。字面最高な上に「サンセットローラーコースター」て。アジア圏のバンドとかアーティストがアツいアツいとは小耳に挟みつつもちゃんと聴くようになったのは今年からでした。シティポップ、AORの流れを汲みつつエスニックなエッセンスも加えつつ(そうなのか?)アルバム通してええ塩梅になってるように思います。「Cool of Lullaby」が特に好き。

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・Crumbling/空中泥棒

Crumbling

Crumbling

  • 空中泥棒
  • シンガーソングライター
  • ¥1375
名前が素敵シリーズ。“Mid-Air Thief”て。もともとは『公衆道徳』名義で活動してた韓国の人のソロプロジェクト。Apple Musicの当てにならないジャンル分けでは「シンガーソングライター」となっているがあんまりそういうのも気にせず聞いた方がいいな。お、女性ボーカル入ってるやんと思って調べたらSummer Soulの人だった。アルバム通してなぜか立ち並ぶ公団住宅とかの風景が想起される感覚というか、奇妙な懐かしさがあって大変素晴らしい。

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・ソングライン/くるり

サンキューくるりサンキュー岸田!音博ちょう楽しかったぜ!!ハイネケンバドワイザーで乾杯や!!!

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・Freeway/んoon

Freeway - EP

Freeway - EP

  • んoon
  • R&B/ソウル
  • ¥1020
この夏一番聴いたかもしれない。PVのサムネからは想像もつかないほどの極上のボサノヴァです。そしてだんだんこの曲にはこのPVしかないと思わされるようになる。なんなら一回夢にも出てきた。「Tragedy」とかも聴いてて心地よい。EP入手しそびれたの悔しいよ俺は。

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・Room 25/Noname

Room 25

Room 25

  • Noname
  • ヒップホップ/ラップ
Noname普段からめちゃめちゃ聴きこむ感じのラッパーではないけど、声がすごい好みである。今でこそサグめのギャングスタラップも好き(笑っちゃう)だけど、こういうR&Bの延長線上にある感じのメロウなビートに乗っけるフロウのラップはシンプルにストレスなく聴けるので相対的にヘビロテしがち。外国のラッパー(ラッパーに限らずですが)はポリティカルなメッセージとか社会に対するオピニオンをしっかりリリックに組み込んでいるイメージが強くて、そこを踏まえた聴き方ができるともっと面白いんやろうな……と思う。「詩人」と呼ばれる彼女の楽曲であればなおさら。

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・なんて素晴らしき世界/Tempalay

いつの間にかベースが脱退してキーボードが加入していたTempalay。メンバーは変われど洒脱なサイケっぷりは健在で、アッパーとダウナーの間をふらふらさまよう感じのグルーヴが最高。先行リリースの「どうしよう」は「Oh.My.God!!」ぶりに食らった。

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・BALLADS 1/Joji

BALLADS 1

BALLADS 1

  • Joji
  • R&B/ソウル
  • ¥1528
Jojiを筆頭に今年は88risimg勢の勢いが凄かった。YouTuberから本格的にアーティストに転向するのってイメージ的にも絶対難しいと思うのだけれどそれを成し遂げてるわけだからやっぱり才能マンなんやな……。とりあえずPVで死にすぎ。

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・The Beam/BIM

The Beam

The Beam

  • BIM
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥2037

みんなのアイドルBIM坊ちゃんの待望のソロアルバムだ!!全16曲という大作である。PUNPEEが参加した「BUDDY」は言わずもがな、jjjプロデュースの「Tissue」が個人的にめちゃめちゃツボ。hookの「乾いたウェットティッシュは なんでゴミ箱の中で泣いてる それは一体なんでか聞きたい」の意味を聞きたい。

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・Quarterthing/Joey Purp
https://itunes.apple.com/jp/album/quarterthing/1435279935?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
この記事を書くにあたっていろんな人の年間ベストを参照したけど、なぜかこのアルバムは誰のベストにも入っていなかった(Mitskiの「Be the Cowboy」はどこのベストにも入ってた)。でもホンマに好きや〜〜Joey Purp。シカゴのラッパー感ゴリゴリで、ただただカッコいい。頼むからフィジカルリリースしてくれよ。買うし。リード曲のElasticの切れ味は異常。

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・Saturn/Nao

Saturn

Saturn

  • Nao
  • R&B/ソウル
  • ¥1630
R&Bというジャンルで言えばこの人の声もまた異質な部類に入りそう。美声というよりクセのあるハイトーンボイスといった声質で、それがまた不思議と良い。そういえば去年MURA MASAと一緒にやってた「Firefly」も名曲やったな〜〜

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・Animals Acoustic/TTNG

ほとんどポストロックらしきポストロックは聴かないけど、TTNGに関しては追わずにはいられない。This Town Needs Guns名義だった2008年にリリースされたアルバム「Animals」のアコースティック版。アルバムタイトル通り、すべての曲が「Chinchilla」「Panda」「Lemur」と動物の名前が付けられている(Lemurって何かと思ったらキツネザルでした)。きっちりアコースティックに再構築されていて聞き応え十分。

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・Inside Voice/Joey Dosik
https://itunes.apple.com/jp/album/inside-voice/1386071061?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
Marvin Gayeと比較されることも多いJoey Dosikの1stフルアルバム。ホワイトマーブルのカラーバイナルが実にオシャレで気に入っておりますが、内容もしっとりとした歌声とメロウなサウンドがとにかく聴かせる楽曲揃い。「人間のための人間の音楽」というコンセプトは伊達じゃない。

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・Cranberry/Hovvdy

Hovvdyのジャンル分けやら紹介文なんかを見てると「ベッドルームプロジェクト」なる文言が出てくることがあって、意味はよくわかってないけどHOMESHAKE(マック・デ・マルコの元ギターのソロプロジェクト)もそんな呼ばれ方してるな……なんてことに思いを馳せてみるとふわっと理解できるようなできないような……。そもそもは制作環境としてシンセとかMTRさえあればスタジオでなくとも寝室程度のスペースでも音楽は作れる、的な意味合いからついた名前だったと思うのだが、概して浮遊感や広がりのあるサウンドが特徴的な、まさに寝室でリラックスして聴くのに打ってつけの楽曲が多いんだよな、という所感。てか、もはや「ベッドルームポップ」なるジャンルもあるみたいだし、そういうのとごっちゃになっちゃってんじゃないか。言わずもがなですがPetalは大名曲なので未聴の方は是非。

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・Stray Dogs/七尾旅人

七尾旅人もまた、変わるところはガラッと変わるし、それでいて大事なところはずっと残しておくみたいなことがしっかりできる器用な人やな〜〜と思う。「Leaving Heaven」は「メモリーレーン」に似てるけどどちらも好きです。「DAVID BOWIE ON THE MOON」はなかなか衝撃的だった。

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・Eutopia/STUTS

Eutopia

Eutopia

  • STUTS
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1833
結局こうなってしまうのである。年間通していろんな楽曲がリリースされる中で、できる限りその多くを耳に入れたいと思う一方で自然と繰り返し聴いてしまう音楽がある。そのクレジットにはSTUTSという文字列がよく並ぶ。今年1番聴いた楽曲は何か?ーー正直に言えば去年の暮れにリリースされた、STUTS×SIKK-O×鈴木真海子の「Summer Situation」だ。

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このアルバムには仙人掌、一十三十一鎮座DOPENESS長岡亮介など、いろんなジャンルのアーティストが参加していて、それらのアーティストが一枚のアルバムの中で誰かが浮くとかいうこともなくそれぞれに魅力を発揮できているというのは、偏にSTUTSというトラックメーカーの実力の証左でもある。全ての楽曲に共通して感じるのは、feat.するアーティストへのリスペクトだ。
そんなSTUTSのスタンスを象徴しているのがアルバムのラスト15曲目、JJJが参加した「Changes」である。「全て罪に目を瞑る」から始まる歌詞の端々にはFla$hBackSの元クルーであるフレシノへのメッセージや、同じくクルーでありながら今年2月に夭逝したFebbへのR.I.Pが感じられる。そのリリックがSTUTSの美しくも哀愁漂うトラックに乗せられている。そして先日、この曲のPVが発表された。

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新たな命を授かったフレシノ、旅立ったFebb、その二人へ向けられたJJJの眼差し。その瞳に込められた想いをただのリスナーでしかない僕なんかが正しく言い表すことは勿論できないが、例え月並みな表現でもその気持ちを「愛」という名前で呼ぶことは間違いだろうか。2018年のアンセムとしてこれ以上にふさわしい音楽を僕は知らない。


もっともっといろんな楽曲があって、思い返せばきりがないのだが、悲しいかな、そろそろ今年も終わってしまう。平成もたけなわ、これにて聴き納め。音楽との出会いがアホみたいに素晴らしい出会いをつくってくれることを僕は知っている。